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[塾長コラム]不安感とうまく付き合うために

受験シーズン真っ只中。
大学受験はもちろんのこと、徳島県の公立高校入試もすぐそこまで近づいてきました。
この時期になると毎年さまざまな相談が寄せられますが、中でも多いのは「不安」についてです。
試験が不安、新しい環境に馴染めるか不安など、
中身はそれぞれ違っても「不安」という感情を持て余す人は決して少なくありません(ほとんどの人がそうかも?)。

そこで今回は、過去に「まねぶ通信(塾内新聞)」に掲載した塾長のコラムをこちらでもお読みいただけるようにしてみました。
不安感とはそもそも何なのか、どうすれば不安感とうまく折り合いをつけられるのか。
同じく強い不安感との格闘を長年続けてきた塾長がたくさんの学びと体験の中から見つけたヒントをシェアしています。何かひとつでも誰かのお役に立つことができたらとても嬉しいです。

不安感は受験期につきもの
 毎年この時期になると、生徒さんからの相談には「不安だ」という内容のものが大変多くなります。内容は様々ですが、いずれにしても受験がみなさんに与える負担がどれほど大きいものかをその都度、強く実感します。

 このコラムでも時々書いているように、塾長である私自身も長年に渡ってうつ病やパニック障害と付き合ってきましたが、これらの病気や障害にも「不安感」はつきもの。
 そのため、いろいろな書籍を読んだり専門家に相談したりして、私なりにこの「不安感」をなくそうと試行錯誤してきましたが、ある時、「不安感はなくならない」という決定的な事実に気がつきました。後述しますが、「不安感」は私たちに一定のメリットをもたらしてくれる存在でもあり、それゆえ完全になくすことは機能的に不可能なようなのです。

 なくすことができないならせめてうまく付き合って、できるなら不安感という猛獣を飼い慣らそう…。考え方の方向をそんなふうに変えることで、私もなんとか折り合いをつけています。


不安は敵?実はあなたを守ってくれたことも…?
 「不安感」という感覚を私たちは何かと敵視しがちですが、実際は私たちが自分の身を守るために大変役立ってくれている側面もあります。

 私たちは、自分の命を守るための機能をいくつも備えています。例えば、痛さを感じる痛点。これは、怪我や病気の存在を知らせるための機能で、「痛い」という一見ネガティブな感覚を与えることで命の危険を知らせ、処置や治療することを促します。
 不安にもこんな側面があって、危険を回避するためにいままで経験したことのない未知のものには不安や恐怖を感じやすくなっていますし、過去に嫌な思い、怖い思いをした経験は、再び同じような思いをしないように不安感や嫌悪感を沸かせることでその経験を回避しようとします。

 また、不安を感じると副交感神経が優位になることで神経が覚醒し、集中力や判断力が向上するという側面もあります。そのため、適度な不安感があるおかげでより良いパフォーマンスが発揮できるという、不安感だからこそのメリットがあるのも事実です。

 とはいえ、不安は過度の緊張や疲労感をもたらすこともあって、なんとか少しでも静かにしていて欲しい!と思う人が多いですよね。先にお話ししたように、私自身も約20年に渡って不安感と闘ってきましたし、強い不安感と付き合いながら受験を乗り越えた生徒さんもいらっしゃいます。そんな彼らから聞いた意識の持ち方や対処法をここで簡単にご紹介したいと思います。

 

1.「自分はいま不安になっている」と呟く
 不安感は驚異的なスピードと深さで私たちの心に浸食してきます。飲み込まれると、飲み込まれたことにさえ気が付けなくなるもの。そんな時に一瞬でも不安感に気がつくことができたらチャンスです!「いま私は不安になっている」と呟いてみましょう。
 この時、「不安になっている自分」を「呟いている自分」が客観視できていることがわかるでしょうか。「こんなことで楽になるわけないだろ!」と思うかもしれませんが、これが結構効くのです。不安感はある意味で幻想です。自分はいま幻想を見ているんだなぁと言葉にすることで幻想を見ている自分に気がつき、自分を妄想の世界から目覚めさせる効果があります。

2.過去の成功体験を思い出す
 自分が「これは流石に無理だろう」と思ったことが想定外にできた時、「これ以上は頑張れない」というくらい努力した時、そんな経験が誰しもひとつはあるのではないでしょうか。
 その経験を、ちょっとした時間で構わないので思い返してみてください。もしも思い出せない時は、保護者の方や心を許せる周囲の人にぜひ聞いてみてほしいと思います。
 不安感が強い時は自信までも失いがちで、これまでに自分が頑張ってきたことすら過小評価してしまいがちです。「いま自信がなくなっているので、自信を取り戻せるようなエピソードをちょうだい!」とリクエストしてみるといいですよ。気恥ずかしいかもしれませんが、自己肯定感はちゃんと復活してくれます。

3.視野を広く持ってみる
 不安感は得てして視野が狭くなった時に現れやすく、不安がさらに視野を狭くするという悪循環を生み出します。
 長期間に渡って勉強づけの日々を送っているとどうしてもなりがちですが、受験勉強には必ず終わりがやってきます。ゴールのないレースほど辛いものはありませんが、いまみなさんが直面しているのは必ず終わるレースで、あなた自身の力である程度コントロールできるものです。
 また、ゴール設定も自分で決めたもので、誰に強いられたものでもありません。つらくなってくると、つい自分だけがすごく不幸だ、大変だと誰もが思いがちです。そんな考えが頭をもたげてきたら「少し疲れているのかも」と判断して、リフレッシュする機会を設けましょう。

4.アウトプットする
 不安がある時は、何がどう不安なのか言語化することすら難しいと感じるでしょう。「不安」という単独の感情だけではなく、様々な感情が複雑に絡み合って巨大化してしまっている場合が少なくありません。解きほぐしてしまえば一つひとつはさほど難しいものではなかった、なんてことはよくあります。
 では、どうすれば解きほぐせるのか。
 それに最も有効なのは、その感情をとにかく自分の体の外に出してしまうことです。ノートに書き殴るのが性に合っている人もいるし、独り言として吐き出したり、人に聞いてもらったりするのが心地いい人もいるでしょう。とにかくどんな形でもいいので、モヤモヤを吐き出してしまいましょう。必ず、書いているうち、話しているうちに自分の不安感の正体が掴めてきます。
 ただし、人に話を聞いてもらう場合に気をつけて欲しいのは、話す前に「アドバイスが欲しいわけでなくひとまず話を聞いて欲しいだけだ」ということを説明しておくということです。相手は相談を受けたと感じ、責任感から「何か言わなくては!」と考え、アドバイスをしようとするかもしれませんが、不安感が強すぎるときのアドバイスほど毒になるものはありません。お互いのために、最初に断りを入れておくのが得策でしょう。


ここでご紹介したものはほんの一部で、他にもたくさんの「不安感」との付き合い方があります。あらかじめ連絡をいただければ塾長もみなさんのお話を聞くことができるので、遠慮なく頼ってくださいね。

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